設立趣意書

1992 年 9 月


  1. 社団法人自由人権協会

    御承知の方も多いかと思いますが、東京に事務所をおく社団法人自由人権協会 (JCLU) は、1947 年設立以来、特定の立場に偏することなく、基本的人権を擁護するため、市民のための人権相談、各種人権侵害事件の救済活動、人権擁護にかかわる提言や立法運動などを行ってきています。市民、法律家、学者等が会員となって運営や活動を行う純粋な市民団体である点にその特徴があり、会員数は約 650 名 (1991 年 10 月現在) です。

    アメリカ自由人権協会 (ACLU、会員数 25 万人余りのアメリカ最大の人権擁護組織) などと共に、国際人権連盟 (国連 NGO 団体の一つ) に加わっているほか、昨年末には ICJ (国際法律家委員会) へも加盟し、国際的なネットワークを有しているのも特徴の一つです。

    活動内容は、かつてのサリドマイド、スモンをはじめとする薬害訴訟の支擾、情報公開問題への取り組み、靖国神社公式参拝問題など信教の自由のための運動、中国から亡命を求めた人々に対する支擾、代用監獄問題の国連への報告、開発途上国に対する援助、国民の司法参加 (陪審)、子供の人権のための活動や国際人権法の紹介、各種出版活動、人権相談など多岐にわたっております。

    このように (社) 自由人権協会は、幅広い人権擁護活動に取り組んできましたが、会員の多数が東京に集中していることもあって、東京を中心とした活動にならざるを得ず、首都圏外の会員にとっては、各種活動への参加は、きわめて困難であるというのが現実でした。

  2. 関西における人権擁護活動の重要性・必要性

    しかしながら、関西においても、子供の人権、女性、外国人、障害者等に対する様々な社会的差別や自由の侵害、環境破壊など人権に関する問題が山積みになっており、特定の立場にとらわれず人権問題に取り組める自由人権協会のような場が欲しい、いろいろな職業の人たちが市民という立場で人権擦譲について交流できる場が必要ではないかとの声が高まっています。また、地域柄関西特有の人権問題に対する取り組みも必要性が増しています。1990 年 9 月には京都在住の人達によって自由人権協会京都が設立されました。

    また、1990 年 3 月に子供の人権と日の丸・君が代をテーマに大阪で (社) 自由人権協会の関西出張例会が持たれました。さらに、1991 年 11 月には、エイズ (HIV) 感染者と「らい」(ハンセン氏病) 感染者の人権をテーマに (社) 自由人権協会、自由人権協会京都と大阪・兵庫設立準備会の三者共催で関西合同例会が開催されるに至っています。

  3. 自由人権協会大阪・兵庫の設立を

    こうした中で、大阪、兵庫でも恒常的な組織を設立し、様々な人権活動を展開しようとの声が高まり、このたび (社) 自由人権協会の支部として自由人権協会大阪・兵庫を設立する運びとなりました。具体的な活動については設立総会において規約や活動方針を採択した上で決定していくことになりますが、以上に述べたような人権問題に関し政府関係機関、その他の団体等に対する働きかけ、裁判等の支援、調査研究・出版活動、人権相談などを行っていくことを考えております。以上のような趣旨に是非ともご賛同いただき、一人でも多くの方が自由人権協会大阪・兵庫に参加されるよう心から呼びかけます。なお、既に (社) 自由人権協会の会員となっておられる方は、支部設立に合流して頂きますようお願いいたします。