コラム4 まったり温泉術

 温泉。日本人の心である。
 本当か? 勝手にそんなことを言ってるんじゃない! ってみなさんからブーイングが来そうな気配があるのですが。

 先日、東北は山形県の温泉に行ってまいりました。実は山形県、私の田舎のお隣さんだというのに初めての上陸。日本は広い。ただそれだけですね。
 私はいつも旅行する時は温泉を必ず入れています。旅行=温泉などという方程式を勝手に決め込んでいるんです。温泉だけあればただ、それだけでいい。単純な性格の私なのです。
 さて、今回は山形県。山形の何処かというと、将棋の駒で有名な天童市。どんな処かワクワクしながら新幹線で東京駅を出発。約三時間で到着。はやい。車でいつも行動している身、新幹線がこんなに早いものなのかと身を持って感じてしまう。交通費はバカにならないんですけどね。
 実は今回の旅行の前日、山形では初雪が観測されたとのこと。脛まである黒いコートを着て、それなりの防寒対策を施して向かう。その甲斐あってか、寒い思いをしなかった。だが。地元の人は私の格好より薄手の服で街を歩いている。なるほど。寒さに対する慣れということか。東京に住んでいる私は、一つここで勉強になる。
 駅を出て、宿までの道を歩いていると、流石将棋の駒の街。電柱や歩道のタイルなど至るところに、詰め将棋の問題がある。きちんと持ち駒まで表記されていて、なかなか面白いことをしていた。一応一つ解いてみようかと思ったけど、将棋から随分と離れていたため、まったく解けなかったです。いや、面目ない。

 さておき、旅館に着くやチェックインまで時間があるので、少しその辺をぶらり。近くにオルゴール博物館があったので立ち寄ってみることに。入館料を払うと、本日は特別プログラムになっていますので、お楽しみください。と、受付のお姉さん。こういう時に特別プログラムという言葉を聞くと、なんてラッキーなんだろう。と、簡単に思ってしまう。我ながら易い男だなぁ。
 その特別プログラム。博物館に展示しているカラクリオルゴールを、普通なら一度に一体しか稼動させないところを、七体も稼動させるという。しかも時間を聞いてみると、あと少しで始まる。なんてついているんだろう。日頃の行いは、時に反比例するのか。と、何故だか胸中で思ったりする。今回一緒に旅をしてくれた兄さんは、日頃の行いがいいからかな? と申していましたが……
 カラクリオルゴール。今から200年以上も前に造られた物とは思えないほど、魅了されました。何と言っても動きが細かい。例えば、椅子の上で軽業を披露する人形がある。椅子に手をつけて、足を揚げていくものなのだけど、途中で足を止めたり、周囲の観客の様子を窺うように目を動かしたりと、本当にビックリさせられた。こういうのが七体も出て、入館料が1000円だというのだから、安いと感じてしまう。オルゴール全盛期の歴史など、色々と勉強になる博物館でした。

 さてさて。なんだかお題とかけ離れてきたと思うので、ここで引き戻しておきましょう。話したいことはたくさんあるのですけど、割愛させてください。  旅行とは、現実の生活を忘れて楽しむこと。旅行先で、勉強やら仕事の話をしたらいけないでしょう。そんなわけで温泉なんです。だって家の風呂桶だと足を伸ばせないけど、温泉だといとも簡単に伸ばせるではないですか。しかも少し広いと泳げるし。って、別に温泉じゃなくても、広いところなら出来るのか……
 夜中、十一時を回ったところで私達は露天風呂に。秋から冬にかかるこの時期、肌寒いなんてぇところじゃない。はっきり言って寒かった。そりゃハダカで外だから当たり前といえばそうなる。しかし。中に入るとそんなのなんてことはない。肩から下は温くて、顔だけ冷たい風を受け、それがとても気持ちいい。はぁぁぁぁぁふぅぅぅぅぅ……極楽極楽。この一言につきるでしょう。すでに心はオヤジ化してますので、他人に何を言われようが気にしないのです。それが私のまったり温泉術なのです。風呂上がり、旅館で用意してくれている浴衣を着て、ビールをキューッと。あぁ、ホントにオヤジだなぁ。

 結論。オヤジ化すれば、簡単にまったり出来る。ってことは、逆に言うとまったりすれば、オヤジ化の始まり。昔からまったりしている私は、そんな時からオヤジ化していたのか〜!! って、なんだかよく分からないコラムになってしまった今回です。

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