コラム号外1 旅行レポート――尾張編

 先日、三日と言う空間があったため、旅に行ってまいりました。しかししかし、しか〜し! 私の旅行にしては珍しく、「温泉」がなかったのです。これはおかしい。旅行=温泉と思っている私が、温泉なしで旅行をするなんて。絶対何かが起きる! ――いや、期待しても、なにもおきませんよ。
 今回旅行の目的は……取材、なのかなぁ? それとも、単なる趣味? 趣味じゃないな。作品作りのためだけど、取材じゃないし……う〜ん、何だろう? まぁいいか、別に。作品作りのために、旅行を行ったと言うことにしといて下さい。今回は、名古屋です。

 と、言うことで初日。東京駅10:52発の「のぞみ(700系)」に乗車するため、9時半の私鉄電車に乗り込み、まずは新宿へ。これは、余裕シャクシャクで東京駅に着く目算だ。だがしかし!
 乗り込んだと同時に、車内放送がはいった。内容は、「今朝方、T駅とM駅の間で人身事故が起きました。その関係で、最大25分の遅れで運行しております」
 なに!? 遅れている!? ベルトに着けた懐中時計を見て、目算する。家の最寄り駅から新宿に行くまで普通だと35分くらい(特急)だ。それに25分を足すと一時間……そしてそこから東京まで約15分。ま、間にあうのか? 不安が心に犇めきあい、まったく動かない電車に苛たちを隠せなかった。気を紛れさせるため、MDでも聴いてみるが、まったくと言っていいほど効果がなかった。そりゃそうだ。そんなので心理状態がよくなるほど、人間単純に出来ちゃいない。一駅一駅過ぎる度に、イチイチ4分くらい停車する電車を恨んだ。いや、人身事故を起こした奴を恨んだ。意味のない行為なのだと分かっているのだが。これは大きな、誤算だった。
 心にフラストレイションを溜めに溜めて、新宿に着いた時間はなんと10:40……ま、間にあわない……せっかく行きに700系、帰りに500系という計画だったと言うのに! しかも私はまだ700系を乗ったことがないのだ! 悔しい。せめて……せめて「のぞみ」の指定料金くらい返してくれ〜〜! そして思った。新横浜から乗ればよかった、と。だって、新幹線に乗るんだから、せめて長く乗りたいって思わないですか? 私はそうなんですけど、私くらいでしょうか?
 結局、予約していた新幹線より二本後の「ひかり号」で、名古屋に出向いたのです。お金使いたくないから、自由席でした。今回の旅行は幸先悪し! といったところです(T^T)。

 初日は、仕事明けと言うことで、ホテルにチェックインした後はあまり出歩きませんでした。そう、今回はホテルに予約したのです。これも私にしてみれば珍しいこと(旅館、民宿をよく使うので)で、実は一人旅でホテルに泊まるのは初めてだったりします。自分でもビックリですよ。修学旅行とかでならホテルはあるけど……ねぇ。
 そうそう、ホテルの予約はネットで行ったため、基本料金より2000円も引いてもらったのです。結構でかい。仕事しているから、この2000円という大きさは、身にしみます。インターネット万歳!!

 さて、名古屋を訪問するのは厳密には4度目。ですが、観光としてきたのは2度目。何故かというと、F1の開催する鈴鹿への通り道だからです。しかも、観光として来た一回は、熱田神宮だけにしか行かなかったという、哀しいものでした――いや、名古屋城は外から見ただけか。
 そんなこんなで、今回初めてキッチリと観光する名古屋。事前に調べてはおいていたのですが、どこをまわるかなんて決めてはいない。いつものように、「何とかなるさ……」と前向き(?)に行動するのであった。そんな二日目……
 起床時間、07:30。いつもの病気(職業病)で、ゆっくり寝ようにも、寝れない。ま、この時間に起きたので、そのまま起きてることにするか。と思ってテレビを点けてみた。都合よく天気予報が流れている――「昨日の夜から降り続いている雪は、朝には止むでしょう」……え? 小首を傾げた。だって、一週間の予報では曇るけど、降らないって言っていたじゃないか。カーテンをあけ、空を…………あぅ、本当だ。雪がちらついてんの。まさか、これが今回の旅行の運だと言うのか! これはいけない。熱田神宮でなにかお守りでも買わないと。そう勝手に思い込む私であった。
 と、言うことでまず初めに熱田神宮へと向かったのですが。今回はほとんど、地下鉄での移動でした。一日乗車券を購入し(740円)、いざ鎌倉!――ごめんなさい、つまらない諺使って。ともかく、私は愛用の緑のカメラバッグと折り畳み傘を手に(バッグの中に入らない)、プラットホームへと向かったのです。と、言うことで景色の描写はなしですm(_ _)m。

 熱田神宮。階段を上ると、そこにはもう、雪は降っていなかった……か、哀しいぞ、これ。
 口なおし。あと数日で、此処は人込みでごった返すのか。と、思いながら、正月の準備をしている人を後目に散策――疎ら。ピークの前と言うのは、こんなものなのかな……玉砂利を踏みしめ、杜を進んで御本殿へ。
 え〜っと、二礼二拍一礼……だったっけ? と、大ボケをかましながら、草薙の剣の祀られている本殿に祈願。ついでにお守りを見てみる。「旅行安全守」なるものがあるではないか。早速私は、赤と白の程よいコントラストの服を着込んだ巫女さん(とても似合っている。これでポニテだったらなぁ、と妄想を始めるが、変な顔をしてはいけないのですぐにやめた)にお金を収め、お守りを受け取る。うむ、いい買い物だった。しかし、そこから離れて背を向けたとき、絶対にへらだっていたと思うなぁ。あ〜人がいなくてよかったよかった。

 しかし、風が冷たいのなんの。黒のロングコートを着込んでいなかったら大変でした。こんなに寒いとは思わなかったので……洟をすすりながら、次の目的地:名古屋港へ。もっと寒いところじゃないか! と着いてから気付き、失念。しかし、よく言うじゃないですか。
 冷たい風に揉まれろ! と。
 何か違うかもしれませんが、これで解決。よし、いざいかん。駅を降りて港へと向かったのでした。
 しかし、何故に名古屋港なのか。いやぁ、そこに水族館があるという情報を仕入れたので、行ってみようかなぁ……と、思った次第です。水族館なんて、あまり行く機会ないですから――いいんだい! 私が行きたかったんだから!(駄々こねモード。手に負えない)
 結構、家族連れが多かったですね。平日の割には。しっかし、見ていて面白い。周りには家族連れやカップル。かたや私は独り。とことん浮いている私の存在。これを見て、面白いと言わずに何と言うか。もはや、他人事のように胸中で笑っていました。いや、本当に。
 ペンギンがたくさんいて、可愛かったですね。うん、ペンギンは海を飛ぶ鳥だと、改めて思いましたね。そういえば、ペンギンのいるところに光を当てると、ペンギンが光の方を見るんだっけ? とか思い、その衝動にかられそうになったのを、必死になって抑えていました。そんなことやると顰蹙(ヒンシュク)ものですよね。
 意外と全部まわるのに時間がかかって、一時間半くらいいたのかなぁ。時間にとらわれていないから、随分ゆっくり歩いていたのか。仕事が時間にばかり縛られているから、開放された反動でそうなったのでしょう。いや、ゆっくりするのが、こんなにいいこととは。人生息抜きが必要ですよね。お前は息抜きだらけだって、言われそうだけど。友人からは……

 なんだかんだいって、熱田神宮と名古屋港の水族館にしか行けなかった二日目。まぁ、それだけのんびり出来たからいいか、とそこはそれで割りきる。だって、旅行で時間に縛られたら、つまらないじゃないですか。最近、そう言う風に思うのです。色々行きたいところはあったけど(犬山のモンキーパークとか)、たくさんまわると、その文だけ時間が少なくなっていくから。数より質ですね、観光地巡りは。

 三日目――と、その前に。
 実は深夜に「ガン○ム」劇場版がやっていたので、見てしまいまして……最後まで見終わった時には5時近く。チェックアウトが11時なので、ギリギリまで粘るか。そう思って寝に就きました。
 三日目。
 結構お土産が多くなって、着替え荷物が重い。こういう時は宅配便で送るのが当然。車での旅行なら、別なんですけどね。しかもこの日も観光に行くから。重い荷物を持って、観光はしたくないでしょう。てなことで、荷物を纏めてチェックアウト。最終日の締めくくりは、名古屋城。何故でしょう。今回の観光はほとんど妥当な線です。別に基本に沿ったわけではないんですけど、ねぇ。

 名古屋城。そうそう、熱田神宮の時もそうだったのですけど、意外と以前に見たところを覚えているんですよね。7年前のことだというのに。記憶力、そんなに自信のない私なのに、どうしてだろ?
 そんなことはいいとして。名古屋城は、天守閣の中に入るより、外から見ていたほうがいいのかな? と言うのが実感。城の造りを見るにしたって、外のほうが分かりやすいし。まぁ、これは私の偏見なので、あまり気にしないでください。
 そういえば、名古屋城に猫がいまして、「にゃあ」としか鳴かないんですよ。流石名古屋(ドアホ)。

 と言うことで、今回の旅行はたったの三ヶ所しか行きませんでした。それでも充実した、仕事の疲れを癒してくれた旅行だったと思いますね。
 最後に。帰路に着く新幹線の中。富士山の麓を通過しているときに、幻想的な風景を見ました。薄い雲が富士の中腹を覆っていて、山頂付近が空に浮いているように見えたのです。なんだかそれを見て、行きの予約していた新幹線に乗れなくて、悔しがっていた思いが、どこかに行ってしまいました。これで帳消しと言うことで、今回の旅行レポートを終わらせてもらいます。

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