ここにある話はとある男の過去について書いた『昔話』です。
事実に基づいて書かれています。

その男はたまに鬱の症状を発する事がありますが、多分その大元は
ここに書いてある事ではないか?と、考えていたりしています。

なんとなく書き留めておきたくなったので、書きました。
何かあった時役立つかもしれない??

まぁ書いている内容はかなりダークで不快そのものだと思いますので、
見たくない人は見ないように。












































今から約30年前
雪積もる1月
N県の片田舎で男の子が産まれました。
両親はその男の子にAと名前を付けました。
「自分のためではなく、人のために生きる」
そういう願いを込めた名前でした。

Aは何処にでも居る男の子と全く変わらない男の子でした。
唯一つ…
牛乳が飲めなかったのです。
牛乳を体が受け付けなかったのです。
牛乳を飲むと吐いていました。
(現在は全く問題は無く、牛乳とか乳製品は好物らしい)

そんなAが3歳の時、保育所に入所しました。
給食の時間に牛乳が出てきます。
「給食残すのは悪い子」
牛乳飲まされます…体は受け付けず嘔吐します。
よく言われていました。

「ゲロゲロマン!」
「ゲロ菌ジャンパー!」

お昼寝の時間になると隣の奴が必ず

「あっち行け!ゲロゲロマン」

お遊戯で手を繋ごうとすると

「ゲロ菌いや!」

だから保育所の頃で良い思い出なんて残ってません。
周りの大人の話によると、Aはしょっちゅう脱走していたとのこと。
脱走を防ぐために、大人たちは教室の入口…それも高い位置に鍵を取り付けたそうです。


Aは小学校に入学しました。
住んでいた場所は田舎です。
保育所の同級生も皆一緒でした。
別の保育所に通っていた連中も同級生となりますが、自然と
「あいつはゲロ吐いて居た」→「汚い野郎」
という事が伝播していきます。

しかし小学校時代は汚いヤロという差別のレッテル貼られながらも
それなりに過ごしていたようです。


そして6年経ちAは中学校に入学しました。
小学校の隣にある中学校です。
思春期…自分も他人も外観が気になる年頃です。
自然と差別は直接的なイジメとなりました。

男子からは
靴箱にあった運動靴消される
殴られる、蹴飛ばされる
唾吐きかけられる
給食の中にプラークテスター(歯磨きの磨き残しチェックするピンクの錠剤)
入れられる…

しかし男子からのイジメはまだ我慢できました。

問題は女子からのイジメです。
…精神的なイジメでした。

「触ったものすら汚い」

まさにそんな扱いでした。
もはやバイ菌ではなく、まるで悪魔か災いの元凶のような扱いでした。
何かあると

「汚い」
「こっち来るな!」
「バイキン!」

席替えでAの隣になっただけで泣き出した女の子も居ました。

「可哀想にね」
「机思いっきり離した方がいいよ、ばい菌移るから」

そして極め付けが

「あんたなんて生まれてこなきゃ良かったのよ!さっさと死ね!!」

こんな事が毎日毎日毎日毎日…
Aは判りませんでした。
何でここまで女子に嫌われなきゃいけないのだろう?…と。

ある時Aは身体的精神的イジメに耐えかね、学級担任に助けを求めます。
緊急のホームルームが開かれました。
教師はこう言いました。
「全員反省文書け」
そして反省文を一人一人発表していきます。

「A君をいじめたのは悪い事でした」
「A君には申し訳ないです」
「A君ごめんなさい」

何て美文でしょう!
これでイジメは無くなる!!
Aはそう思いました。
しかし…現実はそう甘くはありません。
ホームルームが終わり、教師が教室から出て行くと主だった面々がAの机にやってきます。

「チクリ魔!」
「弱ぇ〜」
「お前が居なくなればいいのよ!」
「汚い〜」
「ゴミ!」

結局何も変わりませんでした。
更にそういう状況を救ってくれるはずの教師も
どちらかというと結局は
「イジメルのは悪いが、イジメられる方も悪い」
そんな態度でした。

極め付けが理科の教師…授業中、教師が生物について雑談しているときでした。

「人間が産まれて来る時、1:1.25の比率で女か男が産まれて来る。
女性に比べ0.25分、男性が産まれて来る可能性が高いわけだ。
これは元々乳幼児期の男が耐性が弱く、成人になる前に死んでしまうから
自然と1:1となっていた。
ところが医学が発達した現代では死ぬはずだった0.25の男も生きられるようになった。
しかしながら女性に比べ『余分』である以上、将来的にあぶれる
『種を残せない負け組』
であるわけだ」

『さしずめこのクラスではAが0.25か…』

多分理科の教師は教室に居る男子全体のうちの0.25…と言う事が言いたかったのでしょう。
しかしAにとってはテキメンでした。
そう、幼児期に牛乳飲んで吐いていたAは医学が発達する前であれば確実に死んでいた
だろう人間だったからです。

…生まれて来るべきではなかった人間
…生まれてきてはいけなかった。
…誰も望んでいなかった。
…でも生まれてきた。
…何故?

Aの目の前は真っ暗になりました。
「何で俺は生まれてきたのだろう」…と
負け組と決まっている人生なのになんで生まれてきたのだろう

そして14歳のある日、

…死のう

Aはそう決意しました。

《続く》