この自転車を作った経緯
マラソンなどの大会には何回も出ていたのだが、自転車のレースには出たことがなかった。一回そういう機会を持ちたいなと考えていたところに、トライアスロン出場の話が出てきた。トライアスロンのバイクパートはロードレースなどとは違って個人タイムトライアルっぽいところがあるが、まぁそれでも自転車のレースには違いないだろうと思い、それに出ることとした。時に2003年のことである。
で、TREK1200というアメリカで購入したロードレーサーで出かけたのであるが、そこでその自転車を「年代物」と言われてしまったのである。なるほど、まわりの自転車を眺めてみるとTREK1200とは大分趣を異にしている。そういうことならば自転車を一台作るかと言うことで、作ったのがこの自転車である。
別にTREKにものすごいこだわりがあったわけではないのであるが、初めて購入したロードレーサーがなぜかTREKだったから、単純に今度もTREKにするかなと思って自転車屋さんに出向いたのであった。カタログをもらったり自転車屋さんに展示してある自転車を見ているウチに、段々TREKでなくても良いような気がしてきた。もちろん当時はランス・アームストロングがツール・ド・フランスでTREKを駆り大活躍していた時代なので、TREKでも良かったのであるが、いろんな自転車を見ているウチに自分で新しいのを組んでみたいと思うようになったのである。
と言うことで、フレームは何にするかなあとか探し始めたのである。何年も自転車屋さんに行っていなかったうちに様変わりしていたのはフレームであった。TREK1200のフレームも購入した当時はあっと驚くアルミフレームで、フロントフォークはクロモリながら他はオールアルミであった。こんなの自分の知っている時代にはアランというメーカーの接着剤でパイプを接合したアルミフレームがある程度であったのだから、10万円するかしないかの完成車がアルミフレームというのは大いにオドロキであったのである。そういう材質の面もさることながら、形が変わっているのにもびっくりした。いわゆるスローピングフレームというやつである。フレームのトップチューブが前上がりになっているやつである。自転車のトップチューブは地面と平行が基本で、これが前上がりになっているとどことなくダルな印象を受けるという感覚に支配されている私としては、なんでこんな格好悪いフレームが流行っているのであろうかと疑問でしょうがなかった。スローピングに対してトップチューブが地面と平行なものをホリゾンタルなんぞと呼んでいる。ホリゾンタルもへったくれもないよ、これが基本なの、と言いたいところであった。
まぁ、スローピングはフレームを小さくできるから重量や剛性の面で有利なんだろうなと言うことは、段々とわかっては来たが、好きになれないものはなれない。と言うことで、ホリゾンタルのフレームで軽くて格好いいやつを探すことにした。そういうときに目に付いたのがIntermaxのSelvinoだったのである。
最初に行った自転車屋さんに行き、TREKを購入するのは止めてIntermaxを購入したいと言うことを告げると、幸いにもその店でもIntermaxのフレームを取り扱っていた。Selvinoはフレームだけで18万円。ウヒョッという金額であるが、30年前にイタリアンレーサーが35万円とかで売っていたのに較べると安いと言えば安い。
当初は完成車を購入する予定であったから、パーツを選んで組んでもらおうと思っていたのだが、いろいろとパーツを見ているうちに久々に自分で組んでみたくなってきた。自転車を組み立てるなんて20年振りくらいだ。なんだかんだパーツを決めていくと、昔の常識では通用しないところがいくつもある。スレッドレスヘッドセットとかブレーキレバー組み込みの変速レバーとかカセットコグとかである。その辺の工具は全く持っていなかったので、新たに購入した工具も数多い。組み立て方もよくわからないものがあるので、自転車屋さんに教わったり、参考書を見たりしながら組み立てを行った。ホイールは完組ホイールの方が良いということで、MAVICのコスモスを使用した。
組み上がってみると、自分的にはオオッという軽さであるが、重量を量ってみると8.5kgで特別軽いわけではなかった。まぁ、ホイールとか特別軽いものを使っているわけではなし、軽量化の余地も充分残されているから良いか、と言うところである。ホイールとチェンホイールなどを最近の軽いパーツに取り替えれば7kgも実現できるかなという感じである。しかし、坂を登るときに感じる重さの大半は自分の体重であるから、そっちを早く少しでも減らせよと言う声がどこからともなく聞こえてくるのであった。
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