夜のうちに雨は降るだけ降ったらしくて、朝起きるといい天気であった。雨上がりの晴れという感じである。
本日は朝の9時に洞爺湖レイクヒルファームと言うところで、別路北海道入りしている兄たちと待ち合わせる事になっている。それまでに西山火口群を見学しておこうという事で、さっさと朝飯を済まして出発することにしよう。ジャケット類も干させて頂いたおかげで、ほぼ乾いている。
宿のご主人に見送られて出発。が、すぐに問題発生。パートナーが後の荷物の上に手袋を置いておいて忘れたというのだ。と言う事で、すぐに引き返す。幸い手袋はすぐに見つかった。
その後、西山火口群へ向かう。西山火口群は洞爺湖温泉からちょっと山の方へ上ったところにある。逆に言うと、こんなに温泉街の近くで噴火が始まったんだなあという事で、噴火の際はさぞかし怖かった事であろう。
至る所が隆起したり沈降したりして、大きな池が出来てしまったりしているし、噴石で埋まったりもしている。ただ、火口は今は静かに水蒸気の噴煙を上げているだけで、突然噴火するという事もなさそうである。
山の上に上ると虻田の街と、それを越えて噴火湾が広がっている風景が見えた。広々とした景色は気持ちがよい。
レイクヒルファームでの待ち合わせ時間に遅れそうになってきたので、携帯メールで遅れる旨の連絡をして、バイクのところへ急いで戻る。途中で石焼き芋やら石焼きトウキビを売っている。うまそうに見えるが先を急がないといけないので、横目で見て通り過ぎる。後になって考えてみると、ここで食べておかなかった事は大きな失敗であった。大体民宿で昨日買ったパンなんぞを朝食代わりに食べたりしなければ良かったのであった。そうしたら食べる事が出来たかもしれないのに‥‥。 そう言えば、ここでは芋とかトウキビと一緒に巨大な玉子も焼いていたが、あれはいったい何の玉子だったのであろうか?
さて、山を下ってレイクヒルファームに向かう。湖の横の林の中をだんだんと山の上に上がっていく。いかにも「ホッカイドー!」っていう感じの道ではないのだろうけれど、それはそれとして道幅も広く路面もよく走りやすい。
程なくしてレイクヒルファームに到着すると、そこには既に兄たちのバイクが置いてあった。兄とそのパートナーのMさんは今朝のフェリーで小樽に着いたそうだ。朝食を市場で済ませ、ここまでの快適なコースを走ってきたとの事。
レイクヒルファームは遠くに羊蹄山を見渡す牧場で、野菜やら乳製品やらを売っている。ここで、ひとつアイスクリームをごちそうになる。芝生(牧草か?)の上に置いてあるテーブルに腰を落ち着けアイスクリームを食べる。羊蹄山にはあいにく雲がかかっているが、牧場を駆け抜けていく風は心地よい。ここで、しばらく馬をからかったり、ウサギに触ったりして過ごす。
本日は一緒に静内まで走る事になっているので、簡単にコースの説明を受けて走り出す。こういう時の為に無線機も持ってきたので、無線で連絡を取り合って走る。もちろんヘルメットにスピーカーとマイクは仕込んできてある。ちなみにこっちのパートナーともインターコムで常時通話する事が出来る様になっている。タンデムとは言え、スピードを出して走っていれば、前後での会話は相当苦しいものと思われるが、インターコムのおかげでまるで顔をつきあわせてしゃべっているかの様だ。これがなければ、話す事が出来なくて退屈してピリオンシートは眠ってしまうかもしれないから、これはもう必需品である。
昨日の宿の前を通り、壮瞥を抜けてR453を支笏湖方面へ向かう。片側一車線の道路。特に広くもないが、車の流れは80km/hほどで快適。それでも前にいたトレーラーが上り坂で遅くなったので抜かす。それが下り坂では飛ばしまくって、後から迫ってくるので怖かった。
道の駅大滝と言うところに、一億円のトイレなる物があると言う事で、一億円のトイレって言ったってトイレにはかわらんだろうと思いつつも寄っていく事にする。が、道の駅の手前に道の駅よりもでっかく「キノコ王国」なる施設ができあがっていて、つい思わずそちらに入ってしまう。と言うか、自分自身はずーっとそれが道の駅だと思っていたのだが。
まぁ、せっかくだからキノコ汁でも食べますかという事になって中に入る。と、開設記念だかなんだかでキノコ汁は無料だという。キノコ汁だけ頼めば要はタダなんだろうけれど、さすがにそこまで図太くないのでコロッケも一緒に頼む。タダのキノコ汁はなかなかうまかった。
そこから峠を越えて支笏湖へ。気が付いたら唐突に支笏湖の広い湖面が広がっているという感じであった。支笏湖には特に寄るでもなく湖岸を駆け抜けていく。湖岸と言っても、国道と湖の間には林があるので洞爺湖の様に「湖岸を走ってます!」という様な感じではない。そのうち湖岸から離れて、何回か曲がり角を曲がって道道16号線を千歳へと向かう。
千歳に入ると途端に交通量が増えてくる。とは言っても比較的道が広いのでまだ走りやすいのかな。新千歳空港の横を通って道道10号線に入って早来を目指す。国道からちょっと曲がっただけで快適ロードである。道の両側は牧場である。
早来の街に入る。寂れている。とこの時は思ったけれど、まだまだ序の口だったのだね。早来からは厚真町を経て道道59号線を平取へ向かう。あんまり北海道の道という感じではない。道幅も狭いし、周囲が開けているわけでもない。道の脇には結構たくさん田圃があるし。
牧場では馬が走り回っているところもある。日高に近づくにつれ、競走馬の産地っぽくなってくるという事であろうか?
お昼の時間もとっくに過ぎて、そろそろお腹が空いてきた。しかし、走っている道の回りには食堂はおろか、食料を売っていそうな店もない。なるほど、北海道はグレート田舎なんだなと、この時思った。
平取からちょっと二風谷の方へ行って、アイヌ料理の店に入る事にする。入ると言っても、食事をするのは外なのだが。まぁ、昨日とはうって変わって良い天気だから、外で食事をするのは気持ちがよい。行者ニンニクと鹿肉の入ったラーメンを食べる。行者ニンニクはなかなかうまいですな。鹿肉はチャーシューっぽくなっていたが、自分としては無くてもいいかな。とりあえず腹ペコも収まったし、しばらくゆっくりしてから出かける事とする。
来た道をちょっと戻り、静内方面への道へ入る。またまた快適ロード。それにしても他の車がいませんな。と、そのうちいきなり道がダートとなる。ロードバイクにとってはなかなか難儀なのであろうが、アフリカツインにとってはこの程度のダートは別になんのそのである。まぁ、ダートはすぐに舗装へと変わったが。
ちょっと思っていた道とは違う道を走っていた様であるが、そのうち静内の町の上手の方に出た。そこからはやたらと直線な道を静内方面へ走っていく。周囲は馬の牧場とは言え、なんか人のいるにおいがするところなので、あまりいい気になって飛ばす事は出来ない。
静内の町で、兄はホームセンターに買い物に行ったので、我々はそのまま本日の宿を目指す。しばらく行くと海沿いの町に出る。おおっ、太平洋! さすがに波がデカイ! ってこれはきっと台風の影響ですね。
しばらく行くと静内温泉の看板があった。看板に従って曲がる。程なく静内温泉である。時刻は3時40分。早い時間の到着ではあるが、温泉にでも浸かってゆっくりする事としよう。
【走行距離 271.6km】
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洞爺湖温泉の民宿、上山荘。なかなかお勧め。

今も水蒸気を吹き出している西山火口群。

名物?のいしやきいも・トウキビ・焼き玉子。

広々としたレイクヒルファーム。遠くに羊蹄山を望む。

キノコ王国のコロッケとタダのキノコ汁

馬、駆ける。

小さくてよく見えないけれど、前方に兄たちが。 |