宿泊した静内温泉、温泉はとても良かった。強アルカリ泉で肌がつるつるしてくる。晩と朝に入らせてもらった。
しかし、それに比べると残念ながら食事はイマイチであった。追加で鍋を頼んでいたのだが、それが無いと量も質もイマイチだったかなあと言う感じである。そう言う意味では鍋を頼んでおいて良かった。でも、朝食に付いていたシシャモとタラコは結構おいしかった。
さて、本日は我々は襟裳岬を経由して晩成あたりから北上して池田を経由して足寄方面へ行こうと考えている。
荷物を積んで走り出すと、まもなく太平洋沿いの国道235号線である。今日も太平洋の波はなかなか高い。この道は片側一車線だし追い越し禁止区間も多いので、それなりに交通量もある。だからそんなにぶっ飛ばして走れるわけではないけれど、それでもストレスを全然感じない程度のペースで走ることが出来る。
まもなく浦河に到着。浦河って言う地名は、地震があったところと言うことで知っているのだが、それがここにあったとは今回初めて知った。ここでガソリンを補給。燃費はかなり良い。1リッター30km近く走っている。
兄達はここからは国道236号線で帯広方面を目指すと言う。襟裳岬に向かう我々は、ここで兄達と別れることにする。
国道336号線に入ると交通量が俄然少なくなる。前方に日高山脈の山々が連なっているのが見える。そのうちそれらの山々を丸い形のアポイ岳が隠していく。アポイ岳を横に見るようになってしばらく走るとやがて襟裳岬への分岐点に出る。そこを襟裳岬方面へ曲がっていくと、周りの丘の形が丸くなったように感じる。この辺は自衛隊の演習場でもあるのか、それとも何かの施設があるのか、丘の方に自由に入って行けるわけではないような雰囲気がある。そんな風にして走っているとやがて襟裳岬の駐車場に着く。
襟裳岬の駐車場の雰囲気は、意外にもあっけらかんとしている。森進一の襟裳岬がかかっているが、それも嫌味なほどの音量ではないし、まぁそう言う音楽がかかっているのも許せるような雰囲気である。あんまり走っている最中は他のオートバイを見なかったが、ここには結構な台数のオートバイがいる。
襟裳岬の突端に歩いて行くべく準備をしていると、なんだか変なおっさんが話しかけてくる。石川県から来たのかとか言う話から、おっさんは自分自身はすでに一ヶ月いて15,000km走ったとか言う話になっていったが、う〜ん、一ヶ月で15,000km? ありえん。(って断定する事も出来ないけれど、その人の風体からはありえん様に思えた。)
襟裳岬は天気が悪いと悲惨なことになるらしいが、今回は風も強くなく天気も晴れていて、初めての訪問にしてなかなかよろしかった。ゼニガタアザラシを見ることが出来なかったのは残念だが、昆布採りの漁師も見ることが出来たのでまあいいか。
さて、今度は北を目指して走り始める。実は腹が減ってきたのであるが、なんか襟裳岬で物を食う気にもならず、かといって他にアテがあるわけでもない。黄金道路はトンネルばっかりという感じで、時たま見える海岸では昆布採りが盛んに行われているらしく、軽トラにユニックばりに簡易クレーンを付けた車が多いのが物珍しい。などと言っているうちに豊似に着いてしまったので、あんまり昼飯を食うのも先延ばしにしているとこの先食えなく恐れがあるので、その辺のコンビニエンスストアでとりあえず何かを食べておくことにする。
豊似の街を外れて、国道336号線を湧洞方面へ向かう。車通りがいっそう少なくなる。周りは原野か畑かという感じである。とある畑に二人くらいの人影が見えたような気がしたが、どうも妙な感じである。ううん?と思って更によく見てみると、それは丹頂であった。ちょっとエサか何かをあさっているような感じであった。えーっ?丹頂なんて釧路湿原あたりに行かないと見れないんじゃないの?という感覚があったのだが、丹頂も鳥なんだから自由自在に好きなところに飛んでいくというのが道理な訳だ。
ますます周りが原野っぽくなってくるとやがて湧洞沼への曲がり道の入り口に着く。そこから湧洞沼方面へ走る。そのうち湖面が見えてくる。同時に鳥の姿が見える。ここにも丹頂かと思ったが、こちらはナベヅルか何かであった。一日に二回も野生の鶴を見るなんて初めての経験である。いや、そもそも野生の鶴を見るのが初めてであったな。
湧洞沼は太平洋の海岸線にほとんどくっつくようにある沼で、その間の砂地に立つと左は大波の太平洋、右は静かな湧洞沼という感じで、なかなかシュールな感じの風景である。またこの辺にはハマナスなどもたくさんなっており、こんなもんをたくさん見るのも初めての経験であるので、なかなか興味深いところだと思った。
湧洞沼からは、道道を北上して池田方面を目指す。池田と言えば山ブドウワインで有名だが、勝手に自分が作っていたイメージとは大分違う感じがした。山ブドウと言うことで、もっと山間地にブドウ畑があるような感じを想像していたのだが、このあたりはなんかだだっ広い。だだっ広くて景色が単調である。おかげでこのあたりのことは良く覚えていない。そりゃまあ、全く覚えていないわけでもないのだが、特筆するような事に当たらなかったというかなんというか、とにかく走るのが眠かった。おまけに午後も3時を越えて豊似のコンビニで食べたおにぎりとパンは既に消化されてしまい、腹が減ってどうしようもなくなってきた。しかし、この中途半端な時間、何か食ってしまうと今夜の宿の食事が食べれなくなってしまう恐れがある。第一何か食べようにも手頃な店が全然無いのである。う〜む、どこかにも書いたような気がするが北海道というと、あちらこちらでジャガイモバターとかゆでトウキビとかを売っているのかと思ったら、そんなことは全然無くひたすら大地が広がっているような感じであるのだなあ、と改めて思い知らされたのであった。
そんな風に思っているうちに、足寄に到着。北海道ちほく高原鉄道の足寄駅には道の駅が併設されている。なぜに鉄道の駅に道の駅が?と思ったら、この北海道ちほく高原鉄道は来年廃止されてしまう運命にあるそうだ。う〜ん、もったいないな。いくら今は自動車が普及していて鉄道に乗る人が少なくなってしまっているとは言え、限りある石油資源のこと・地球温暖化のことを考えるともっと効率の良い公共交通機関を利用せざるを得ない日が来るのも、そう遠くない将来であると思うのだが。
それにしても道の駅足寄、なんにもないぞ。わずかに駅の売店(それとも道の駅の売店?)に売っていたパンとスナック菓子で、ちょっと空腹を納めて、再び走り出す。
今夜の宿は校舎のとほ宿「夢舎」である。利別川沿いの道を気持ちよく走っていくと、まもなく小利別。なんか寂れた街というか、集落という感じ。しばらくその辺をうろうろと探し回って、まもなく発見。なるほど「夢舎」はかつての小利別小学校の校舎を利用した宿であった。寝る部屋も教室そのまんまである。でも、宿の方は親しみやすいし、食事もおいしかった。食後はお酒なんぞをいただき、色々と話をする。なんでもこの辺は冬は-35度くらいになるとか? 冬にも来てみたいなと思うところなのであった。
【走行距離 343.6km】
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国道235号線。右に太平洋を眺めながら走る。

後からついてくるウチの兄。

襟裳岬にて。襟裳岬の碑に抱きついているのはパートナー。

勇洞沼。周りに人工物はほとんどない。

十勝川を渡る。ゆったりとした流れ。

上利別の駅舎。懐かしい形。でも変な絵が描いてあるよ。

本日の宿、足寄郡陸別町小利別のとほ宿「夢舎」。お薦め。 |