2005年8月29日 小利別 → サロマ湖 → 興部 → 名寄

 校舎の宿「夢舎」には漫画の本がたくさん置いてあった、ついついそれに朝から読みふけってしまうのであった。まぁ、そんなことばっかでは出発し損ねるのでおいしくてボリュームたっぷりの朝ご飯をいただき、食後はテラスでちょっとコーヒータイム。でっかいネコのにゃん吉君が周りをうろうろしていてなかなかよろしい雰囲気である。
 さて、本日はここだけは行こうと当初から考えていた目的地のひとつである「トロッコ王国」を目指すことにしている。しかし、小利別からだとそれなりの距離があるし、トロッコ王国の近所の林道も走りたいのだが、そうなってくると時間の読みが難しくなってくる。宿には夕食時間の関係があるから、遅くとも6時くらいまでには入りたい。いずれにせよ距離から考えるとトロッコ王国近辺に泊まるのが得策であろうと、名寄の「なよろサンピラーYH」を朝食後に予約した。
 まずは小利別の駅を見に行き、そこから国道242号線を北上する。小さい峠を越えて置戸へ。そこから更に北上して留辺蘂。留辺蘂でガスを給油して、道道を佐呂間町方面へ進む。まずはサロマ湖畔の道の駅を目指す。佐呂間湖畔の道の駅で何かうまそうな物があったら食べるかなと思っていたが、なんかまだどうしても食べたくなるほど食欲をそそる物がない。しばらく店内を眺めていたりしたが、あんまりおもしろくないので、後の山の上にある展望台に行くことにする。展望台に行くにはちょっと回り道をしていくが、途中はラフロードである。元々オフロードバイクのアフリカツインにとってはこの程度のダートはチョロいもんだし、タンデムだと後輪荷重が多いせいか、なかなか安定している。が、あんまり飛ばすなと言うピリオンシートからの注文で、ゆっくり走る。
 展望台に上ってサロマ湖を眺める。なるほど、ここからだとサロマ湖全体が見渡せる。サロマ湖とオホーツク海を隔てている砂州もよく見える。展望台には双眼鏡が何台か備えられていて、それがタダで見れるというのが良い。でも、この双眼鏡、見たい方向に向けること自体がひどく大変であった。
 展望台から降りて、サロマ湖畔を湧別方面へ向かう。なんだか、雲行きが段々怪しくなってくる。と、思うまもなく大粒の雨が降ってきた。周りには避難するようなところもない。うわっ!と思いつつ走っているとすぐに道の左側にバス停の待合い小屋を発見。すかさずバス停の前にバイクを止め、濡れそうな荷物をはずしてバス停内に避難する。バスの時刻表をチェックすると、まぁ一時間位はバスは通りそうもない。一時間もあれば、この雨も止むだろうとゆっくり過ごすことにする。しかし、バス停の中は結構暑い。窓を開けると雨が吹き込んでくるし。しばらくそうやっていると、北方面からやってきた一台のバイクのライダーがバス停の中に駆け込んできた。そちらはずぶ濡れである。ボツボツと話を聞いてみたところ、なんでもその大学生の彼はここよりちょっと北にあるキャンプ場を出て網走で昼飯を食うべく走っていたそうだ。でも、突然の雨にあってずぶ濡れになった上に、こうやって雨宿りしていたら網走で昼飯は無理だろうなあ、と言うことだそうだ。
 まぁ、そんなこんなしているウチに雨も小やみになってきた。しかし、道路上には雨水がたっぷりと溜まっていて、走ってくる車がそれを盛大に跳ね飛ばしている。薄日も射してきて、盛大に跳ねた水に光が当たると虹が現れる。そんな風景をバス停の外に出て見ていたら、サロマ湖方面からバイクが二台やってきた。と、人の方を見て「あーっ」とかなんとか叫んだと思ったら、急ブレーキをかけて止まっている。なんだなんだと思ってよく見ると、それは昨日別れた兄達であった。
 再び雨脚が強くなってきたこともあり、雨宿りタイムを過ごす。兄がコーヒーを入れてくれる。ゆっくりした時間が流れるのはよいのだけれど、なにしろ今日は名寄まで行くつもりで宿も予約してあるのでいささか気が急く。う〜ん、と思っていると雨も止んできて、道路の水も引いてきたので一足先に出発することにする。先ほどの大学生の彼もまだ雨が止んでいないうちに南へと出発していった。兄達に別れを告げて走り出す。次に向かうのはコムケ湖である。
 国道238号線をしばらく走り、途中で右折してコムケ湖へ向かう。コムケ湖も勇洞沼と同じようになんか古さを感じさせる湖である。オホーツク海側に出ると道路はダートとなる。右はオホーツク海、左はコムケ湖である。オホーツク海には海霧が出ていて水平線が判然としない。波もあまりない。コムケ湖には水鳥がいろいろと浮かんでいる。少しだけサンゴ草が赤く色づいているところがある。遠くに雨の降っている様子がわかる。あの雨雲の中には再び入りたくないもんだ。
 牧場の間を走って、再び国道238号線に出る。腹も減ったことだし紋別の街に行って何か食べることにしようと思う。国道を北上し、道の駅の看板を目にしたので、そちらの方に行く。道の駅の駐車場に行くとバイクがいる。なんか、見たことのあるバイク。兄達であった。道の駅の食堂は閉まっているようで、なんとなくどこか別の所に行って一緒に昼食を食べようと言うことになる。と言うことで、さらに北上する。国道は一車線イエローラインで他の車を追い抜くわけにはいかないが、まぁ我慢して走る。まもなく興部の街に入る。
 興部でも道の駅に行ってみる。他になにか食べられそうなところが簡単に見つからないからなんだけれど。しかし、ここにも例えば高速道路のサービスエリアのような光景を見ることは出来なかった。道の駅の売店に売っているのは、なんという物か忘れてしまったが、バターイモ饅頭というような感じの物であった。この先も食べるのを我慢していると夕食に支障を来しそうなので、ここで食べることにする。
 バターイモ饅頭みたいのは、ほのかに甘くてなかなかおいしかった。
 ここで、もっと北上すると言う兄達と別れて、我々は名寄方面へ向かうこととする。国道239号線は交通量も少なく、快適に走ることが出来る。途中でエミューがいる牧場があったので、Uターンして見物する。
 山間の道を走って、まもなく名寄の街に入る。名寄の街も想像したほど大きくはなかったが、それでもかなりの街だなと言う感じがした。今日泊まる「なよろサンピラーYH」を探しながら走る。途中でちょっと道が違うんじゃないのと言うことで、Uターンして思った方に走っていくと、丘の上に写真で見たまさに「なよろサンピラーYH」の建物が建っていた。
 「なよろサンピラーYH」はツーリング好きのペアレントが運営しているユースホステルのようで、バイクを物置の中に止めさせてくれるのはありがたかった。宿泊するのに不必要な荷物はバイクに付けたままでも、雨や夜露に濡れることが無いのだから。
 食事もかなりボリュームがあって満足できるものであった。その後、サンピラー温泉に行く。途中の山道にキタキツネがいた。ライトでしつこいくらい照らされても、そう言うことには慣れっこになっているのか全然平気な顔をしていた。
 温泉からの帰り道には、高台に上がって名寄の街の夜景を眺める。まぁ、
名寄ですからと言われながらみた夜景はなかなかの物であった。それより星空もなかなかの物であった。すぐ近くにかなりまぶしい灯りがあるにもかかわらず、天の川がはっきり見える。
 その後、まったりとした夜は過ぎていくのであった。

【走行距離 247.0km】


校舎の宿「夢舎」の部屋。教室そのまんま。


ネコのにゃん吉君とその彼女。


小利別の駅。駅前は廃れているけれど駅はなかなか。


サロマ湖へ向かう途中の牧場の牛。


コムケ湖の向こう、湧別方向に降る雨。


コムケ湖。秋になるとサンゴ草で真っ赤になるらしい。


本日の宿、「なよろサンピラーYH」。お薦め。

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