2005年8月30日 名寄 → 美深 → 深川 → 小樽

 名寄の宿「なよろサンピラーYH」の朝はおいしそうなパンのにおいから始まった。ベッドの中で「パンでも焼いているのかな?」と思いつつ、朝のまどろみの時間を楽しむ。
 朝食には予想どおりホームベーカリーで焼いたパンが出された。これがまた何とも言えずうまい。もちろん他のおかずだっておいしいのだけれど、なんとなくホームベーカリーなんて、という気持ちがあったのが完全に覆されたという意味でこの朝食はインパクトが大きかったのである。
 扇風機の風を当てておいた洗濯物も完全に乾いたので、そろそろ出発することにする。本日の目的はピヤシリ山林道を走って、任宇布のトロッコ王国に行くことである。そこへの訪問が終わったら、そろそろ終わりの近づいている休日に合わせて南下しなければならない。
 ガレージの中からアフリカツインを引っ張り出して、YHの皆さんと記念撮影をして、盛大なお見送りを受けて出発する。
 まずは昨日の夜、名寄の夜景を楽しんだ市営の公園の方を目指し、そこからなよろサンピラー温泉の方へと向かう。サンピラー温泉を通り過ぎると林道の始まりである。路面は最初のウチは砂利も少なく快調に走ることが出来る。途中分岐点もあるが、ピヤシリ山方面に向けて曲がらなければならないところは一箇所だけである。段々砂利が深くなってきて走りにくくなってくる。それでも轍の中にいる限りは特にどうということもない。カーブがそれほどきつくないのは楽と言えば楽である。やがてピヤシリ山頂に行く林道分岐点に到着する。が、ピヤシリ山頂方面は通行止めになっている。そこにある看板を読むと、どやら曜日と時間を限って解放されているようであるが、本日は閉まっている日のようである。ピヤシリ山頂からの眺めが良いと聞いていただけにちょっと残念であるが、もっとも何となく空気が霞んでいて見通しはあまり良くないので、上に行けたとしても眺望は楽しめないであろう。
 林道は徐々に下りになって来た。この辺には神門の滝などという滝があるそうであるが、どこに川があるのかがイマイチわからない。林道も延々と続き、これって本当に合っているのかしらと思う頃になって、ポイッという感じで幌内越峠に出た。そこから道道を走り、もう一つ峠を越えて仁宇布へ。
 仁宇布にはトロッコ王国がある。トロッコ王国は廃線になった美幌線の線路を利用して、保線用のトロッコを運転させてくれる。見るからに手作りっぽいトロッコで、汎用エンジンに小さな車輪となんだか頼りなく見える。だが、いったん鉄路の上を走り出してみると、どうだ。ちゃちっぽく見えながらもレールのつなぎ目を乗り越える時など、ガタンガタンといかにも鉄道っぽい音を出してくれる。制限速度が決まっていた様な気もするが、そこはそれでフルスロットルにしてみるとなかなかスリルがある。と言ってもハンディGPSで測定してみると40km/hをちょっと越える程度のスピードしか出ていないのであるが。それにしてもおもしろかった。自宅の庭にも線路を引いてこういう楽しみ方をしたいものである。(庭は無いが‥‥)
 トロッコ王国を堪能した後は、美深へと下る。ちょうど昼飯時なので美深で昼食を摂ることにする。美深には井上食堂という有名な食堂があるらしい。そこに行ってみることにする。井上食堂は美深の街のメインストリートのど真ん中にあった。この食堂はラーメンなどの上に色々なトッピングが出来ることで有名らしい。なるほど、麺も製麺会社から選べるしスープの味もトッピングも種類がすごくたくさんある。それゆえ注文するまでがなかなか大変であった。味はなかなかのもので、こんな田舎町(と言っては失礼だが)にしては、昼も過ぎた時間だというのにお客さんがひっきりなしに来る。
 さて、昼食後は国道275号線を美深峠、朱鞠内湖方面へと向かう。車もいないし快適な道である。途中、日本最低気温記録地なんて言うのもある。夏だとそんなことは想像も出来ない。それにしても天気も良いし、お腹も一杯だしで眠い。途中、朱鞠内湖を見渡せる駐車場のベンチの上でしばし昼寝する。
 その駐車場からちょっとだけ見える朱鞠内湖は、島が点在していて入り江が入り組んでいて、これはカヤックなりカヌーなりで漕いだらおもしろそうな所である。
 朱鞠内湖は雨竜第一ダムというダムでせき止められている人造湖であるが、出来てから60年以上たっているし、もともと緩やかな地形の所に作られたのであろうから、こういった入り組んだ湖になっているのであろう。いつか、カヤックを持ってここに来てキャンプツーリングをしようと思う。それにしても、この辺にはやたらとキタキツネがうろうろしている。う〜ん、エサ目当て?
 ここからは引き続き国道275号線を南下する。本当は富良野とか美瑛とかに寄っていきたいと思っていたのだが、どうもこれは時間が足りそうもない。大体、最終日は積丹半島に行ってウニを食べようという計画になっていたのだ。と言うことは、本日中に小樽くらいまでには行っておかないとダメなんでは無かろうか。それに途中で仕入れた情報では、ウニは8月31日で禁漁になってしまうと言うではないか。これはなんとしても明日は積丹半島に行っていなければ! と言うことで、なにしろ国道275号線を何も考えずに南下し、深川から道央自動車道を使って小樽まで行ってしまおうと言うことになった。
 国道275号線を南下していくと、まもなく道の両側は見渡す限りのソバ畑となる。ちょうどソバには白い花が付いていて、彼方まで白く見える。なんでも日本一のソバの産地だとか。ソバでも食べていきたいところだが、時間はどんどん過ぎていき、何となく気が急くのでそのまま走り続ける。そして何となく薄暗くなり始めた午後5時過ぎに、ようやく高速道路近くの道の駅に到着したのであった。そうそう、美深で昼食を摂って4時間あまり、そろそろ腹が減ってきた時間なので道の駅でなんか食べることにする。私としてはトウキビをといきたいところだったのだが、そんな物は全然売っていない。やむをえずイモモチを買って食べる。
 道の駅を出て近くのガソリンスタンドで給油してから、高速に乗る。北海道に来て初めて乗る高速道路である。北海道で高速道路に乗るなんてバカみたいと言う気もしなくもないが、なんだかんだ言って街の近くの道を走るとそれなりに交通量もあるから、ワープするためには高速道路も有効な手段だと言い聞かして走る。やや風が強いせいか、ピリオンシートはヘルメットが風で揺さぶられて辛いという。スピードはあまり上げないようにして走る。やがて岩見沢のあたりまで来た頃には日はとっぷり暮れてしまった。
 それにしてもびっくりしたのは札幌の街のでかさである。高速の上からしか見ていないのでよくわからないのだが、相当走っても街が続いている。そしてまた暗くなってしばらく走ると小樽である。
 高速を降りて、小樽駅へと走る。小樽駅の観光案内所に行ってみたが、すでに閉まっていた。しょうがないのでその辺の電話帳で今日泊まれそうなホテルを探して電話をかけてみる。幸いあっさり駅の近くのホテルを取ることが出来た。まぁ、あんまり良いホテルとは言いにくかったが、そんなもんですかね。
 その後、シャワーを浴びてから小樽の街に夕食を摂りに行ったのであった。
 ああ、高速走行もありなんだかんだと疲れた一日であった。

【走行距離 351.7km】


なよろサンピラーYHの前で出発前の記念撮影。


ピヤシリ山林道で。北の山の自然は厳しい感じ。


トロッコ王国で記念撮影。


トロッコで線路を爆走。スピード感と振動はバイク以上。


幌加内のソバ畑の中をまっすぐに貫く国道275号線。


幌加内のソバ畑。ソバの花で遙か彼方まで白く見える。


小樽の運河の夜景。きれいだけれどどこか寂しい。

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